ものもらい

麦粒腫と霰粒腫

「ものもらい」は、まぶたが腫れてかゆくなったり傷んだりする疾患です。麦粒腫(ばくりゅうしゅ)と霰粒腫(さんりゅうしゅ)の2種類に分かれており、それぞれ症状は似ていますが、原因は全く異なります(地方によっては、ものもらいだけ麦粒腫と言う所もあります)。両方とも他者へうつる危険性はありません。ものもらいと聞くと「眼帯で隠した方がいいのでは?」と考える方がいらっしゃるかもしれませんが、眼帯は雑菌が繁殖しやすいものですので、使用は控えるのが望ましいとされています。

麦粒腫

「まぶたがゴロゴロする」「まぶたの一部がかゆくなったり赤く腫れて痛くなったりする」などの症状が起こるタイプです。毛根に付属する汗腺(かんせん)や皮脂腺が感染して起こる外麦粒腫と、まぶたの裏側にあるマイボーム腺が感染する内麦粒腫に分かれます。原因となる菌は多岐に渡りますが、中でも多いのは黄色ブドウ球菌です。黄色ブドウ球菌は、基本的に治療では、抗菌薬(点眼薬)が使われますが、症状がひどい場合には飲み薬なども処方します。化膿が進行している場合は、切開で膿を排出することもありますさせます。

霰粒腫

瞼板(けんばん=まぶたの中の線維性組織)内に存在するマイボーム腺の出口が詰まり、分泌物の脂が瞼板の内部にたまって肉芽腫(にくげしゅ)となったものが霰粒腫です。
約1/3~1/2は自然軽快しますが腫瘤の縮小に時間を要します。ステロイドの塗布や局所注射、切開等の治療法がありますが、お子様の場合には副作用の問題や局所麻酔での処置が難しいためまずは自然経軽快を待つことが多いです。また高齢者での繰り返しの霰粒腫ではまれに脂腺細胞癌などの悪性腫瘍との鑑別が必要になりますので組織を採取し、病理検査を実施することがあります。